私立中学受験を考えているお子さんは習い事もたっぷりとやっていることが多いです。
今まで一番多い子で1週間に8個ほど掛け持ちしていました。
剣道、書写、珠算、公文、英会話、ラグビー、スイミング、バイオリンなどといった感じでした。
ちょっと多いかなと思い、父母面談のときに様子を聞いてみました。
「本人が好きでやっていることですから、大丈夫です。」
とご父母は言ってみえました。
が、気になったので、あとで本人にも聞いてみたところ、スイミング以外はあまり行きたくないと言っていました。
やはり、週に2回ぐらいが丁度良いと考えます。
勉強がはかどらない理由に習い事の所為にし始めたら、その習い事はやめるべきだと思います。
過去の生徒の中には、どんなに勉強で忙しくても自分の意志で、珠算を絶対にやめないと言い切った生徒がいました。
小学生の間に初段をクリアすることを目標に頑張っていました。
第一志望で共学のトップ校を目指す女の子でした。
不運にも、第一志望校の入試日の前日が珠算の昇段試験日となってしまいました。
しかし、当の本人は全く気にしていません。
見事、第一志望校と珠算の初段、両方の合格を成し遂げました。
ちなみにその子は、母子家庭で母親に金銭的な負担をかけたくないと言って、特待生合格を狙っていて、それも達成しました。
合格発表の後、
「先生、私って親孝行だよね。お母さんは、当然だと言って、全く褒めてくれないんだよね。」
と不満げでした。
以前、そのお母さんが父母面談で言っていたことを思い出しました。
「娘たちには絶対に甘い顔はしません。褒めもしません。気を張って育てている私が挫ける
のが怖くて、でも時々、そんな娘たちが気の毒でかわいそうになってきます。」
とボロボロと泣いてみえたのを思い出します。
そのことを話してやろうかとも思ったのですが、そのお母さんの頑張りの価値を落としてしまうような罪の意識を感じて思いとどまりました。
「珠算初段合格と第一志望校特待生合格は本当にすごいよ。お母さんは、きっと自慢の娘だと君のわからないところで言いまくっていると思うな。僕も自分の子供だったら、そうすると思う。ただ絶対に娘に知られないようにするけどね。照れくさいじゃん。」
と私が言うと、彼女はとても嬉しそうに笑っていました。