亡くなった親父が懇意にしていた建築会社の社長から、キャンセル物件があるから、格安にするから買わないかと話があった。
当時、親父は慎重な人なので、そんな急な話しにはのらないだろうと思っていた。
相手が親友だということで、安心していたのか、さらに借金をして、勧められるままそこを購入した。
半年後、引越しをした。
その時から、私の苦しみが始まった。
察しのいい方はすでに予想がついていると思うが、そう、出るのである。
幽霊。
部屋を歩き回る足音。
部屋を飛び回る犬猫。
枕元に立ってる口元から血を流している着物姿の女性。
上から見下ろす血だらけの革ジャンの男。
朝起きると残っている首のところのロープのアザ。
真夜中風呂に入ると浴槽を下から爪で引っかく音。
我慢できなかったが、7年後に引っ越すことになった。
あとから分かったのは、そこがもと墓地だったということ。
父はそれを知って、激怒して、その建築会社の親友と縁を切った。
でも、もう少し早く、私の苦しみに気付いて欲しかった。
でも、本当に不動産の格安物件とは怖いものですね。