今年の夏は本当に暑かった。早く涼しくなって欲しいと願う方に、真冬の話をひとつ。
今から25年ぐらい前にトヨタのMR2という車に乗っていた頃の話である。
新車で購入して、五年ほど、無事故で大切に乗っていた。
車検を受けようか、新車を購入しようか迷っていたが、思い切って、念願のソアラを次の愛車に決定した。話もまとまり、下取り価格も納得のいくものであった。
納車が待ち遠しいある日、雪が降り、会社帰りの道はアイスバーン状態だった。
ノーマルタイヤの上にミッドシップでスピンの条件は揃っていた。
真夜中過ぎ、慎重に帰路に着いた。
対向一車線の田舎道、木から落ちた雪が道路の中央で光っていた。
嫌な予感がした。
次の瞬間、ハンドルを取られて、完全にコントロールを失い、スピンに陥った。
そして、前方からけたたましいクラクションとともに、トラックがスピードを緩めることなく目前にせまっていた。
終わった。
大破だ。
せっかく、査定価格も良かったのになあ。
命も危ない状態でこんなことを考えている自分に呆れながら、追突の衝撃に備えた。
…。
あれ?
トラックは無事に通り抜けたらしい。
どうしてか、今でもわからない。
想像の域を越えないが、すれ違うとき、スピン中の私の車とトラックがかなり凄い確率で、平行になったらしい。
次の車の商談がまとまり、愛車から気持ちが離れたときに、事故が多いと担当の営業マンに知らされた。
車も嫉妬するのだ。