4月に会社を追われるように辞めた私は、次の職場を名古屋市内に求めた。
以前の会社での最後の半年間に、私立中学受験コース4年生の担当をしていたこともあって、とても興味があった。
当時、東海3県に8校舎を展開する進学塾に内定をもらい10月からの入社を決めた。
7月の夏期講習から手伝ってほしいと言われたが、断った。
自分の気持ちを一度完全にリセットしたかったからだ。
ただ、3年前に購入したマンションの支払いがある為、働く必要があった。
学生時代に4年以上やっていたウエイターの短期アルバイトを5~6月の2か月間やり、7月~8月は、白樺湖のリゾートホテルのフロントのアルバイトをフリーペーパーで見つけた。
テレビ付きの個室がもらえ、大浴場は自由に使え、豪華ではないが、3食のまかないもついていた。
フロントの仕事は、受付だけでなく多岐に亘っていた。
予約電話の受付、チェックイン時の部屋への案内、チェックアウト時の清算対応、ルームサービスの対応等。
白樺湖でのアルバイトでは、昼休憩の時に湖畔を散歩した。夏休みで混んではいたが、平日は、十分に気分転換になるものだった。
シフトで不定期の休日には、バスで上高地散策に行ったり、夜には仕事仲間との麻雀を楽しんだりして、それなりに充実した毎日を送っていた。
このアルバイト中に、ホテルの支配人に気に入られて、ホテルへの入社を勧められた。
しかし、地元に購入したばかりのマンションと当時付き合っていた彼女を残してきていたので、丁重に断った。 あっという間に契約期間の2か月が過ぎ、無事に地元に戻った。