以前、同じ職場に薄毛を気にしている、いや、気にしていると思う年上の社員がいた。
同じ男として、気持ちは痛いほどわかる。
この1年間で、少しずつ髪の量が増えてきた。
段階的に増毛するプログラムである。
人知れず増やしたい。
気持ちが痛いほどわかる。
他の社員は気付いていない。
上手い!自然に増えている。
いいお店を見つけたね。
私も話をする時に視線がそこに集中しないように協力態勢を強化した。
春に臨時ボーナスが出た。
うちの部署は業績好調でかなりふところが潤った。
いか~ん。
ボーナスの額に気を良くした彼は、一気に枯木の山の緑地化を強行したのだった。
「こいつかぶってまーす。」
大きな声で言ってあげた方が救われるぐらいの違和感だった。