10年ほど前の話です。
風邪をひどくこじらせて、近所のかかりつけの内科に行った。
家を出るときに体温計を見て、ビックリ。
41度。
車の運転は無理で、意識が混濁する状態でふらふらと歩いて病院にたどりついた。
診察を終え、点滴を2本射ち、会計を待っていた。
この間、ほとんど記憶がないが…。
会計を終えても、ひどいめまいは治まらず、ふらふらと靴箱まで行き、
病院の入り口の扉を開けたとたん、
ブラックアウト。
「〇〇さん、大丈夫ですか!」
が遠くの方で何回も繰り返し聞こえた。
「しっかり。」
「深く息をして!」
「急いで診察室に運べ!』
「おばあちゃんも大丈夫?」
おばあちゃん?
おばあちゃんってなんだ?
そのまま意識がとんだ。
どうやら気を失ったらしい。
冷たい濡れタオルの心地よさで意識がもどった。
玄関で電池が切れるように
派手に倒れたらしい。
しばらく診察室で休んでから、
家に帰った。
はて…
おばあちゃん大丈夫?
ってなんだったんだろう。
それはその後、病院からの電話ではっきりした。
先生の話によると、
倒れた際に、玄関ですれ違ったおばあちゃんを巻き込んでしまったらしい。
床のコンクリートと私の頭の間に手を挟まれて、手の骨にひびが入ってしまったということ。
そして、その手がなかったら、ぼくは、全体重がかかった状態でコンクリートに頭を打ち付けて、大変なことになるところだったらしい。
明くる日、すぐに病院でそのおばあちゃんの住所を聞き、お礼に伺ったのは言うまでもない。