えんたかブログ
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王様の耳はロバの耳

「Peaple don’t look」ひとは見かけによらない

高校2年の夏休みに友人3人と自転車旅行をした。

福井県の越前海岸まで往復280㎞を走破する予定で、8月1日に出発した。

猛暑日だった。

当時の自転車は性能が悪く、体への負担はとても大きく、関ヶ原にさしかかったころには、4人とも疲労しきっていた。

何か食べなくてはと考え、おにぎり1個を何とかねじ込んだ。

カンジュースは7缶をすでに消費していた。脱水症状に近い状態だったと思う。

お~い、大丈夫か~

水分ばかりじゃなく、何か食べないと。

食欲ねぇー、俺はジュースが主食。

そんなこと言ってるとぶっ倒れっぞ。

◯◯は、胸が苦しくないか?

仲間の中で1人心配なやつがいた。

心臓病をもっている。

親の反対を振り切って参加していた。

夕方、越前海岸にたどり着いた頃、

ヤバい、倒れたぞ~

最後尾にいたやつの声がした。

やっぱり、心臓が耐えられなかったんだ。

どうしよう…。

振りかえってみると、何か食べろという忠告も聞かずに、カンジュースばかり30本ちかく飲み干していたやつが泡をふいて倒れていた。

お前かい。

軽くつっこんでしまった。

状態は思ったより深刻だった。

見た目、明らかに病院に連れて行く必要性を感じた。

泡をふいてるぞ。カニのたたりか?

越前だけに…。

ぎゃー。

こんな深刻な状況で冗談を言う痛い友人の足を、相当な重量になっているであろう自転車のタイヤで踏んづけてお仕置きした。

持ってきたテントを張り、横にならせ、薬をのませたが、いっこうに良くならない。

真夜中、タクシーを呼んで、救急病院にかつぎこんだ。

過労、軽い熱中症、腸炎と診断された。

家に連絡を入れて迎えにきてもらうことにした。

その後は三人で旅を続けた。

しかし、生憎の雨が3~4日続きそうな天気予報だったので、楽しみにしていたテント生活を諦めて、民宿に泊まることにした。

数日後、雨があがったので帰ることにした。

帰りは、炎天下をさけて、真夜中に出発した。

ところが…

福井県と滋賀県との県境の峠道の長い上り坂に苦しんでいた。

その時、かなりの数のバイク音と映画『ゴッドファザー』のテーマ曲のクラクションが近づいて来た。

暴走族だ。

40~50はいる。

あっという間に囲まれた。

何やってんだ~

こういう人達はどうして威圧的な話し方でスタートするのだろうか。

自転車旅行です。

恐々答えた。

大変だな~

ご~く~ろ~さん

へっへっへっへ。

よくやるよな~

疲れるだろ

すっげえ

爆音の中、いろいろな声がかすかに聞こえた。

みごとに雑魚キャラのセリフだ。

その時は恐怖でしかなかった。

ああ、たぶんボコボコにされるんだ。

死体はこのあたりの山中に埋められるんだ。

新聞やテレビで報道されるのかな。

両親や友達はちゃんとインタビューに答えてくれるのかな。

死後、自分の部屋が整理されたら、やばいものがいっぱいあって、やばいなあ。

いろいろなことが頭の中をよぎった。

おらよ。

掛け声とともに何か飛んで来た。

反射的にキャッチしてしまった。

缶コーラだった。

えっ?

がんばれよ~

あっという間に暴走族は去っていった。

あの騒音さえなければ、

いい人達なのに…

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