今春から私立中受験勉強をスタートさせるお子さんが、第一の壁として迎えるのがゴールデンウィーク頃です。
もともと、学校の勉強はそんなに努力しなくても良い成績を取れる子達も私立中受験用のテキストの難度やこなさなきゃいけない量にびっくりするでしょう。
ちょっと自信を失いかけていて、疲れが出てくる5月頃に「塾をやめたい」と言い出す子も少なくありません。
五月病です。
そんな時に我が子に何て声をかけてやりますか?
「あなたは頑張ればできる子だから。」
なんて言って、さらに事態を悪化させていませんか?
親御さんの気持ちはわかりますが、頑張っている子にさらに頑張れと言うのは無神経極まりない言動です。
塾の教師がこれらを感知して、手をうってくれれば良いのですが、残念ながら期待できない教師が多いことが現状です。
できるなら、塾に面談に行った際に、責任者に五月病対策で実施している具体策を聞いてみてください。
おそらく、「個人的に、声をかけておきます。」と返ってくるだけだと思います。
私が実際に実行していた五月病対策は、
生徒の親にも言えない深層心理をずばずばと言いあててやることです。
いわゆるガス抜きです。
「学校の勉強は簡単にこなせるのに塾の勉強が思ったより難しくて、自信をなくし始めているだろう」
「公立へ行く友達は自由時間が多くて、自分はなぜこんなに忙しいのだろう」
「頑張っているのに、なぜ、さらに頑張らなきゃいけないのだろう」
「こんな大変なら、私立中学なんか行きたくない」
「塾をやめたい」
これらを言うと、泣き始める生徒もいました。
2〜3か月でこんなにもストレスが溜まるのですね。
そして、その後はお子さんの気持ちを肯定してやるのです。
認めてやるのです。
「やめたい、抜け出したいと思うのは普通だよ」
「受験勉強が難しくて、プライドが傷ついているよね」
「塾はいつでもやめられるよ」
「もっと遊ぶ時間が欲しいいよね」
これらを言うと、みんな大きくうなずいています。
最後に私立中学のメリット、親がなぜ行かせたがるのか、こんなチャンスは誰でも与えてもらえるものではないことをアピールします。
「有名大学受験では、対策、推薦、ケアのどれをとっても私立が有利だよ」
「金銭的に言って、だれでも行けるところではないよ、君たちはすごいチャンスを親からもらえているよ。うらやましい。僕にはこんなチャンスなかった。代われるなら、喜んで代わりたい。」
「思い切りスポーツをやりたいなら、設備の整った私立がいいよ」
「何と言っても、冷暖房や食堂完備」
このへんまで来るとかなり顔つきが和らいでくる。
私が現役教師の時は、自分の授業時間を削って、20〜30分で理解できる言葉でゆっくり話してやります。
1回ではなく、様々な話材を用意して、定期的に繰り返すことが大切です。
もちろん、教科指導上のカリキュラムに支障をきたさないのは当然のことです。
校舎の責任者である塾長や室長はもとより、経営者レベルにこういった生徒の心的ケアを重要視する姿勢があるかどうかが受験結果に表れてきます。
校舎に行く機会には、必ず教師の人となりや責任者の懐の深さを測っておきたいですね。
それによっては、塾替えもありです。