えんたかブログ
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王様の耳はロバの耳

「Hidden innocence」かくれた純真

大学は教育学部に進んだ。

4回生のときに小中学校に教育実習に行った。

どうせならと思って、当時、一番荒れていると言われていた中学校を敢えて選んだ。

その中学は岐阜県で1番大きな繁華街を校下とし、クラスの7~8人が母子家庭といった感じである。

ビンゴ!

1番の問題児、この学校を仕切っている番長格がいる学級を担当することになった。

余談ではあるが、小学生の頃住んでいた家の向かいに、あこがれていた女子大生のお姉さんがいたのだが、その息子が担当クラスにいたのにはビックリだった。

さっそく、授業を担当することになった。

やはり、予想通り問題児たちは寝ている。

指名の集中砲火を浴びせてやった。

やつらは、かなりヤバいオーラを出しはじめた。

こちらもスーパーサイヤ人並のオーラを出しているつもりだった。

どうやら、ロックオンされたようだ。

放課後に理科室に呼び出された。

面白そうだったので、呼び出しにのって、行ってみたら、10人ほどに囲まれた。

お前、生意気なんだよ。

番長格がにらんだ。

この手の輩には、中坊の時に随分きたえてもらったので、可愛らしさすら感じた。

次の台詞も、何をしたいかも良く分かる。

タイマンでの喧嘩は立場上マズい。

一目散に逃げるか。

う~ん、奴らも慣れていて、完全に退路を塞がれている。

おとなしく殴られておくか?

怪我を見られて、職員室で他の先生にいろいろと詮索されるのもめんどうだ。

考えたあげく、レスリング勝負にしてもらった。

相手が動けなくなったら、ホールド勝ち。

殴るのはなし。

あ~あ、スーツが台無しになるなあ。

それに最近の子は本当に大きいなあ。

俺よりは15センチぐらい大きいぞ。

怖いな~。

「行くぞ。」

凄みのある声で我にかえった。

結構早く決着した。

私のホールド勝ち。

今の子は力がないなあ。

二回戦を申し込まれたが、おじさんにはダブルヘッダーは辛いということで勘弁してもらった。

あくる日、どんな仕返しがあるかなって思っていたら、何もなく拍子ぬけ。

それどころか、授業中に寝ていない。

ちゃんと僕の授業に参加しているのである。

最終日になった。

いつも通りにお別れ会の後、残務処理を済ませて、校門を出ようとしたとき。

やっぱり居た。

奴である。

最後の決戦を覚悟した。

「行くなよ。残ってくれよ。」

耳を疑った。

泣いてくれてる。

担任の先生がなだめてくれた。

今の子は複雑だなあ。

でも、人から必要とされるのはとても嬉しい。

それから三十年。

どんな人生をおくっているのかなあ。

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